突然ですが、『宇宙飛行士は早く老ける?-重力と老化の意外な関係』という本を読みました。
BDC PILATESの理念ととても通じることが多かったので、今日はその内容を一部ご紹介したいと思います。
筆者のジョーン・ファニカス博士は、1993年から2000年までNASA(The National Aeronautics and Space Administration / アメリカ航空宇宙局)における
ライフサイエンス系の実験・研究飛行の総元締めという立場にいた方。
ファニカス博士自身の研究テーマは「重力が人の老化に与える影響」についてでした。
宇宙飛行士に重力が与える影響を研究することにより、
重力が人間の身体にももたらすメリットとデメリットの両方を読み解いています。
そして重力は、地球上に生きる人間にとって当たり前のようにあるにもかかわらず、
それをうまく活用し、重力の恩恵を手に入れようと意識して生活しない限り、
健康にとって意味がないばかりか、悪影響を及ぼしてしまう、と。
年齢にかかわりなく宇宙飛行士は誰でも、数週間(時には数ヶ月)にわたり宇宙に行き、
無重力の中で時間を過ごすと、あたかも急に歳をとってしまったかのような肉体的症状が現れるとのこと。
ここで詳細は省きますが、重力がない中で生活をすると、
筋肉の衰えに加え、骨粗鬆症に結びつくカルシウムの喪失、骨密度の低下、平衡感覚の喪失、などなど。
実際に年をとっている訳ではもちろんなく、
宇宙での仕事を終え、地球の大気圏に再突入して地上に戻ってきた時点で、
地球上での生活に支障をきたしてしまうような肉体的変化がある、と。
人の筋肉というのは(地球上では)年間に平均0.5~1%ずつ失われていきます。
場合によっては想像以上に筋肉量の喪失が進むことも。
ストレスが増えたり身体を動かさない状態が長く続くと、タンパク質を失う量が増え、筋肉量の喪失が進むそうです。
ちなみに宇宙飛行士においては、平均で毎週0.5~1%の筋肉量が失われていたとのこと。
つまり地球上で1年間かかる変化が1週間で起きていたことになります。
ただ筋肉量が減ってしまった宇宙飛行士たちも、
地球に戻ってから適切なエクササイズを行い治療を受けることで、
元の筋肉量を取り戻すことができることは分かっていると言っています。
1994年、老年医学の専門家たちによる研究で
『歳をとって筋肉が衰えても、元に戻すことができる』という研究結果が発表されました。
それまでは「筋肉の衰えと骨量の喪失は加齢と切っても切れない関係で、再び若い頃の状態に戻すことは不可能である」と考えられてきたものが、
この研究結果の発表によりその考えが覆され、「適切なエクササイズをすることにより、失われた筋肉を取り戻すことができる」という概念に世の中が切り替わったそうです!
最後にファニカス博士は著書の中で、「未来の自分に投資しましょう」と記されています。
「どんな運動であれ、身体を動かすのは、身体にとって良いことです。
でも、ただ動かすだけでなく、重力を効果的かつ効率的に活用した動かし方ができれば、なお良いでしょう。
また、それを生活の一部に取り入れて継続することができれば、生涯にわたる健康と活力の基礎づくりができたことになります。
これは、将来に向けての貴重な投資です。」
まさに私たちが体現しようとしているBDC PILATESの理念だと思いました。
重力があるから、私たちの背骨は歳と共に歪み、筋肉は下の方向に落ちていき、皮膚も下方向へ垂れていってしまう…。
しかしその重力があるからこそ、筋肉を鍛えることができ、筋肉量と骨密度を上げることができ、健康的で美しく自分が理想とする身体を保持することができる…。
重力を悪者ではなく、味方にするために必要なのは、重力を効果的に効率的に使い「正しく定期的に行うエクササイズ」。
それが自分の将来に向けてできる貴重な投資である。
改めてとても勉強になりました!!
ぜひご興味のある方はご一読ください。
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